美術教師 米谷義子のつぶやき
monthly essays


「 キティちゃんとミッキーマウスを比べてみたら 」 JULY 1998

 このところのワールド・カップフィーバーで改めて”日本”を認識した人も多いと思う。 若者が胸に手をあて、『君が代』を歌う姿に感慨深いものがあった。それが一時的なものとしても たまには自分の国を意識するのは良いことだと思う。
 ところでアートの世界ではそういうことを意識する機会はあるのだろうか。身近なところで考えてみたいと思う。
 美術史を振り返ると、東洋と西洋では空間のとらえ方が異なっている。西洋ではルネッサンス期に、人間の目の高さや 三次元的空間把握に基づいた遠近法や透視図法が研究された。一方、東洋においては、それらにとらわれない空間意識 があり、とりわけ日本特有の視点は、西洋人に独特のエキゾチシズムを感じさせた。平面的で影のない浮世絵などが、 印象派の画家達にも大きな影響を与えた事はあまりにも有名だ。
yone0003.gif  さて、多くの女子中・高生はキャラクターグッズが大好きなようだ。ノートやペン等の文具品 、マスコット、キーホルダー、タオル、財布…彼女たちを取り囲むキャラクター入り雑貨類は生活の一部であり 、切っても切れない仲間達だ。これらをアートとするかどうかの問題は又別の機会に述べたいがとりあえず 身近なヴィジュアルとして、キティちゃんを代表とする国産キャラクターとミッキーマウスを代表とする 輸入品のキャラクターを比べてみよう。
 キティちゃん、マイメロディ、キキ&ララ等の顔は極めて平面的だ。しかも横顔をほとんど意識しないでデザインされている。 最近、銀行のテレビCMで、キティちゃん一家が歩く場面が登場するが、身体は横向きに進んでも、 顔だけは真正面だ。ドラエモンや鉄腕アトムにしても、どうも横顔はいけてない。
 一方、アメリカ産ディズニーキャラクターを思い起こして欲しい。ミッキーマウス、101匹ワンちゃんのダルメシアン 、その他クマのプーさん、スヌーピー…そのどれをとっても、横顔と奥行きが充分に意識されたデザインだ。 かつて20代ころ、ある洋書店で見たスパイダーマンは、遠近法のビル群の中を思いっきり飛びまわっていた。
 こういった身近なものにも、ちょっと目を向けると面白い程文化の違いが見えてくる。とは言え、生まれた時から ハイブリットの中で育っている若い世代にとって、何を比較すればいいのかさえ解らないのかもしれないが…







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