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「ヨネちゃーん、やっと会えたね。」 ハグ!。力強く抱きついてきた。まるで映画のワンシーンの様だと思いながらも 少々恥ずかしい。高校からオーストリアに留学して以来、会うのは二年ぶりになる。 長い夏休みを利用して帰国していることは知っていたがやっと互いの都合がついて 再会出来た。「荷物全部詰めちゃって・・・。」とジャージに雪駄というラフな格好を 言い訳していたが一段と背も伸びて健康的な肢体にそれが良く似合っている。 お茶しながらいろいろな話をしてくれた。 八割方勉強の話で驚かされた。毎日大量の宿題が出て、どう頑張っても夜中の 二時三時までかかるという。母国語が英語でないと、人の何倍も努力しなければならない。 ルームメイトを気遣ってトイレに閉じこもったこともあるらしい。 便器の蓋を机に勉強していたら、M美が行方不明だと寮中で大騒ぎになったという。 「寂しくないの?」
「そりぁ、最初のうちは言葉も通じないし、何度も帰りたいって・・・。」
少々甘えん坊の一人っ子が、十五才で親元を離れたのだから無理もない。「遊んだりは?」 「山の中だからせいぜいスキーか乗馬、街にディスコも一軒しかなくて。 東京は遊ぶところいーっぱいあるじゃない?ずっとここにいたら誘惑に 負けちゃってただろうなぁ。」 (はぁ・・・。外から見る東京ってそういうところなんだ。) 秋からは英国の学校に入るとの事。昨今、強い意志と向上心をもって進路や夢を 語れる十七才はそういない。別れ際、彼女に誘われるまま記念のプリクラを撮った。 ホームに上がるとほぼ同時に上りと下りの電車が来た。 「体に気をつけて、ご両親にも感謝するのよ。」 「きっと又手紙書くからね。元気でね。バーイ。」 一人になって出来たての写真シールを改めて眺めた。 M美の眼差しがきりりと頼もしい。 |