心なしか目が潤んで見えた。何故か他の部員は帰ってしまったというのだ。彼女は最後ま
で縁の下の力持ちだった。頑張った分だけ込み上げてくるものがあったのだろう。私もこの所、明るい時間に帰れることが少なかった。駅に着くとある筈の定期入れが無 い!。落ち着こう…、切符売場の端でリュックの中身をひとつひとつ点検する。そういう 時に限って見ず知らずの老婆が話かけてきたりする。しかし無い…ううっ、三ヶ月分も買 うんじゃなかった。出てこなかったらあと二ヶ月分、一万円もの大損失だ。暗たんたる気 持ちで仕方無しに切符を買う。 家に辿り着くと足首がパンパンになってい た。当番制になっている犬の散歩を大学生の長男に代わってもらう。運悪く彼が毛虫にや られたと戻ってきた。残暑と長雨のせいで椿に異常発生していたらしい。あわてて彼の短 パンを洗濯機にほうり込んだ。暫くすると洗濯機がゴトンゴトンと音を立て始めた。 「あっ、ケ、ケータイが!」時すでに遅く、携帯電話はあえなく御臨終となった。「百四 十人分のメモリーどうしてくれるんだよ。」「へぇ、そんなに沢山友達いたんだ。」 「素直に謝れよ。ま、さし当たって弁償してもらおうじゃないの。」さらに一万円の出 費は痛すぎる。 幸い定期券の方は翌日見つかった。発見現場は美術室。なんとまとめたゴミ袋の上だっ た。疲れと注意力散漫と…行事のあとは先生だって泣きたくなる時がある。 |