美術教師 米谷義子のつぶやき
monthly essays


「 塾講師>学校教師 」?  NOVEMBER 1999

 そろそろ受験生にとっては本腰をいれなければならない季節になってきた。美大予備校 に通う高三生も幾らかいる。
 今年は日本画、油絵、デザインと、目指す 分野が各々に分かれているが、いずれもなかなか調子が良い。現役合格率は約二割という 現実を知りつつも、とても楽しみだ。荷物になるから無理しなくてもいい、と言うのに 「先生にどうしても見て貰いたくって。」と気軽に予備校の作品を沢山持って来てくれる。 この無邪気さが菊華生の良さだなあ、とつい嬉しくなってしまうが、通学鞄に加えてカル トンに、筒にと実に御苦労なことである。
yone0019.gif  机一杯にキジの剥製と果物等の着彩、モリエールの石膏像デッサン、人物画等が並べられる。一瞬息を飲む。職人技のような高度な テクニック。いつの間に…。いや、待てよ…。 「良くなってるよね。でも描けるから逆によ く見てないところもある。上手いから手が走っちゃう。そこが問題かな。」 「中間のトーンはすごく綺麗だけど、石膏のガツンとした硬さが無いね。」
  率直に感想を述べると、「うわあ、塾の先生と同じ事を言う!先生っ てすごーい!」と大いに感嘆される。しかし「すごーい」と妙な褒められ方をして単純に喜んでばかりもいられない。 彼女達にとって、塾の先生がおっしゃる事は絶対なのだ。年齢も近く、身近な先輩でも あり、それが憧れの超難関美大院生だったりするから尚更カリスマ性があるのだろう。く しくも若くて格好いいお兄さん先生(もしくはお姉さん先生)と同じ土俵に上げて貰えた のは甚だ光栄であるが、作品を講評することでこちらまで試されているような気持ちにな らないでもない。じゃあ学校の先生って一体…?。    







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